演劇について様々な角度から学べるピッコロ演劇学校。
夜間開校(18:40~20:40)で通いやすく、週二回の授業に対し授業料は年間12万円ほど。
兵庫県立ピッコロシアター直営で、劇場の隅々を使えます。
そんな演劇学校に通ってみて気づいたメリット・デメリットを13個紹介します。
メリット
①舞台を使える
劇場直営というだけあって、1回目の授業から広い舞台を丸々使うことができます!
間口(幅)が18m/奥行15mもある大ホールを授業の段階から使うことができるんです!
この大ホールで卒業公演も行います。
自主稽古でも大ホールの全面を目一杯使えます。
日によっては、これ以外の中・小ホールに留まらず廊下などありとあらゆるところで授業をします。
そして、舞台裏の機構装置など天上(吊りバトン)から地下(奈落)まで隅々を見て回ることもできます。
②現役の俳優に見てもらえる
講師を務めるのは、県立ピッコロ劇団に所属している現役の俳優の方々。
舞台活動に留まらず、テレビの出演や学校での指導もされています。
そんな講師の方から自分の演技に対してアドバイスをもらえます。
日頃の授業では、普段されているトレーニングが垣間見えたり、美声・桁違いの演技力を間近で見られて凄く勉強になります!Σ(・□・;)
公演前は、作品や役の最終決定から衣装の貸出しや小道具の作成まで協力してもらえます。
#ピッコロ演劇学校 前期発表会の上演指導を務める菅原ゆうき📷「10年前、ピッコロ演劇学校に入学し本格的に演劇を学び始めた僕が、今度は指導する立場に。緊張しますが、恩返しできるように努めます!」
ガンバレ~~📣#ピッコロ劇団 pic.twitter.com/K3167tGGvY— ピッコロシアター・ピッコロ劇団 (@piccolo_theater) October 13, 2022
外部の講師による授業も豪華
更に外部の講師の方も豪華で、演出家や振付師をはじめ様々な角度で演劇に携わっている方々から話を聞くことができます。
古典劇からの変遷や全身を使って演じる方法、パントマイム・ダンス・狂言を基礎から学ぶものや劇団運営の現状を知る授業などがあります。
実践形式が多く、各々が演じる上で考えていることも聞けてためになります。
講師の方々(敬称略)
- 平田オリザ(青年団・主宰)
- 内藤裕敬(南河内万歳一座・座長)
- 谷省吾(劇団いるかHotel・主宰)
- 鐘下辰男(THE・ガジラ・主宰)
- いいむろなおき(パントマイム俳優)
- 岩松了(劇作家)
- 桒山智成(京都大学大学院・教授)
- 永田亜紀(ヴォーカルトレーナー)
- 善竹隆司(大蔵流狂言方・能楽師)
- 伊賀裕子(宝塚歌劇団・振付師)
- 栗原良明(阪急電鉄・歌劇事業部長)
公演には、舞台監督・音響・照明など10人以上のプロのスタッフもつきます。
③演劇に触れる機会が多々ある
観劇や戯曲を読める図書館も提供されています。
外部の公演やオーディションのチラシ配布もあり、学校外の演劇に関する情報も知ることができます。
ピッコロシアター主催の公演を無料で見られる
ピッコロ劇団の公演をはじめ計6つの公演、合計2万円(前売り・一般)ほどかかるものを無料で見られます!
更に、それ以外のピッコロシアターでの一部の公演や狂言の集中体験の割引もあります。
無料で見られる公演(2022年度・それぞれ一回ずつ)
桂ざこぱ一門会(落語)5/14
三人姉妹(演劇)7/16~27
から騒ぎ(演劇)10/6~10
欲望という名の電車(演劇・文学座) 11/12・13
飛んで孫悟空(演劇) 12/24~25
子どもと楽しむ落語会 3/11
演劇の本・戯曲を借りられる
ピッコロシアターに併設している資料室では、主に演劇関係の本や戯曲を3冊まで・2週間借りることができます。
④生徒主体の授業
授業では様々なシアターゲームを講師と共にルールをいじりつつ取り組んでみたり、見せ合ったりと
とにかく答えを提示せず(答えがなく)、各々がそれぞれ試す(挑戦してみる)ことに重きが置かれています。
公演に向けては、生徒自ら題材を出し合い何度も投票し、各自で台本を作成し
衣装や髪形、小道具も各自で考えたイメージを元に決めていきます。
さらに役作り・演技プラン(感情・動き方・話し方など)も自分で考えてから立ち稽古に臨みます。
講師の方からのフィードバックもあくまで一例で、本番直前まで試行錯誤してみるというスタンスでした。
さらに舞台の設営や解体にも参加します。
⑤発表の機会がある
演劇学校の生徒であれば、万遍なく全員に発表する機会が2回・計4日あります。
(人数や戯曲によってダブルキャスト:公演2日のうち、1日ずつ同じ役を2人で交代する:の可能性あり)
令和4年度ピッコロ演劇学校・ピッコロ舞台技術学校
『合同卒業公演』無事に終演いたしました!本科39期生・舞台技術学校30期生
『夏の夜の夢 本科39期版』 pic.twitter.com/nKFiLVi1Kw— ピッコロシアター・ピッコロ劇団 (@piccolo_theater) March 7, 2023
更に、お客さんに渡すチケットやパンフレットの作成、公演後に見返すためのアンケート、動画記録・写真撮影も行ってくれます。
⑥公演のチケットノルマがない
中間発表(無料)と卒業公演(1500円)の2つがありますが、チケットノルマ(出演者が自腹でチケットを買い取り)は一切ありません。
”観客を何人呼べたのか?”ということは一切関係なく、誰も誘わなくても大丈夫です。
ただし、チケットバック(チケットを販売できた際の報酬)もありません。
⑦演劇学校と舞台技術学校の両方を受講可能
追加料金なし・メール連絡のみで、それぞれの授業を受講できます。
(舞台技術学校生は本科のみ見学・参加できます。:研究科はNG)
実際にグループワークをはじめとした授業全般に舞台技術学校の方が数名、見学/参加されていました。
(中間発表・卒業公演の出演は不可のため、9~10月・1~3月は基本見学のみ)
逆に、演劇学校生が舞台技術学校の授業にも美術・音響・照明問わず参加できます。
公演前は稽古と被り行けない日もありますが、自分が出演する舞台の美術ができるまでの様子を見ることができます。
裏方と役者両方の視点で見ることができます。
⑧多種多様な人たち
選考試験(面接・朗読・動き)はありますが、演劇経験が一切なく声が小さく動きが下手くそでも通うことができました。
初心者大歓迎で選考は緩く、公演1週間前の授業にできるだけ参加できるかどうかが重視されます。
老若男女、住んでいる地域や経験者かどうか・普段の職業を問わず様々な方が集まっているので、色んなアイディアを見ることができます。
1年間同じメンバー
1年間を通して、同じメンバーで授業を受けます。
初めは見ず知らずの人たちですが、アイスブレークやあだ名の共有から始まり信頼感や仲間意識が芽生えます。
そして卒業公演になると、一緒に舞台を創り上げよう!という一体感が味わえます。
演劇に興味がある方も多く、自分たちで劇団を立ち上げることもあるようです。
初心者でもOK
アイスブレイクからはじまり、演じ方・腹式呼吸や発声の方法、声の使い分け方・舞台用語の説明といった基礎的なところから授業があります。
日々の授業でも、始めに全身のストレッチや発声(ハミングなど)を行う時間が設けられています。
デメリット
①公演前のスケジュール
各公演の2か月前~、授業とは別に週2日程度の稽古(任意・講師の方も参加)があります。
また公演1週間前の土曜日から公演日まで、毎日が授業日になります。
(※シアター定休日の月曜日は休み)
ハード?
事前に各自が参加可能な時間を調査してから予定を組むため、都合が悪くても問題はありません。
※授業日の欠席があまりにも多くなる場合は出演に制限がかかる場合あり。
連日の稽古に加えて公演の土・日を中心に朝9時集合になることから、体力はあった方が良いでしょう。
また、本番前は時間が迫ってることもありピリピリとしたムードになります。
②交通費が高い (通学定期は買えない)
公演前になるとほぼ毎日通うことになりますが、カルチャースクールのため通学定期を買うことはできません。
学費より交通費の方が負担になるかもしれません。
③学費の納入時期
学費は4万円づつ、3回に分けて支払います。
途中で辞めても既に収めた学費は戻りません。
4~7月 | ~入学前 |
9~12月 | ~7月31日 |
1~3月 | ~12月22日(12月最後の授業日) |
④時間が少ない
2時間×週2回のため、それぞれの講義は広く浅く、つかみの部分までしか聞くことができません。
(例:狂言2回・歌唱2回・パントマイム3回)
次の授業まで最大で5日開くこともあり自分でストレッチや発声練習などを行うことが重要になってきます。
火→2日後→木→5日後→火
⑤本科は1年しか通えない
本科は1年・研究科は3年間のみ通うことができます。(舞台技術学校は制限なし)
残念ながら、来年も本科に行くという選択肢はありません。
引き続き通いたい場合は、研究科か舞台技術学校(本科の見学も可)を選択する必要があります。
研究科の方によると、研究科は本科の授業とは異なり、公演の戯曲を1文ごとに丁寧に感情表現を実践していく授業が主になるようです。
最後に
ピッコロ演劇学校は、演劇について全くの未経験でも楽しめて色々と学ぶことの多い習い事でした。
どうやら演劇学校(本科・研究科)と舞台技術学校(音響・照明・美術)のすべてを制覇した人もいるようで。
次回、演劇学校の1年間を通してのカリキュラムや学べたことなど公開予定です!
コメント下欄より募集しております。閲覧いただき誠にありがとうございました。
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